日本の家計金融資産に占める現金・預金は47.22% — 統計開始以来はじめて半分を割った
2026年3月末の家計金融資産2,385.7兆円のうち現金・預金は47.22%。2015年3月末は51.30%、2020年3月末は54.70%でした。同じ時期に株式は10.37%から16.70%へ、投資信託は4.59%から6.93%へ上がっています。
日本の家計はいま資産の何割を預金で持っているか
半分を少し下回ります。2026年3月末の家計金融資産2,385.7兆円のうち、現金・預金は47.22%(1,126.4兆円)でした(日本銀行 資金循環統計、2026年第1四半期速報)。
「日本の家計は資産の半分を預金で持っている」という言い方は長く正しかったのですが、公表系列のうえではその状態が終わったのは直近1年のことです。
日本の家計はいま資産の何割を預金で持っているか
現金・預金
ゼロを基準とする共通の線形目盛です。 下の表から一部の項目を抜粋しています。日付・単位・定義・注意点は元の表と本文を確認してください。
| 期末 | 現金・預金 | 債務証券 | 株式等 | 投資信託 | 保険・年金等 | その他 | 金融資産合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2000年3月 | 53.15% | 3.61% | 9.87% | 2.28% | 26.40% | 4.69% | 1,401.1兆円 |
| 2005年3月 | 51.38% | 2.46% | 9.09% | 2.53% | 31.33% | 3.21% | 1,536.3兆円 |
| 2010年3月 | 52.90% | 2.71% | 7.19% | 3.85% | 30.51% | 2.84% | 1,546.8兆円 |
| 2015年3月 | 51.30% | 1.53% | 10.37% | 4.59% | 29.45% | 2.76% | 1,762.5兆円 |
| 2019年3月 | 52.68% | 1.36% | 10.82% | 3.79% | 28.68% | 2.67% | 1,859.9兆円 |
| 2020年3月 | 54.70% | 1.47% | 8.46% | 3.43% | 29.20% | 2.74% | 1,829.8兆円 |
| 2025年3月 | 50.28% | 1.42% | 13.92% | 5.91% | 25.46% | 3.01% | 2,226.8兆円 |
| 2026年3月 | 47.22% | 1.52% | 16.70% | 6.93% | 24.48% | 3.15% | 2,385.7兆円 |
四半世紀のあいだ、この比率は51〜55%の帯のなかにありました。2020年3月末の54.70%は帯の上端で、そこから6年で7.5ポイント下がったことになります。
本稿の数値はすべて日本銀行 資金循環統計の2026年第1四半期速報(2026年6月25日公表ファイル)という単一のヴィンテージから算出しています。資金循環統計は毎年さかのぼって改定されるため、過去に公表されたPDFの数値と本表の数値は一致しないことがあります。両者を混ぜて時系列にしてはいけません。また対象部門は家計(個人事業主を含み、対家計民間非営利団体を除く)です。台湾やシンガポールの表とは部門の定義が異なります。
減ったのは預金ではなく、預金の「割合」
ここは取り違えやすいところです。比率が下がったのは、預金が減ったからではありません。
現金・預金の残高は2015年3月末の904.2兆円から2026年3月末の1,126.4兆円へ増えています。同じ期間に金融資産全体が1,762.5兆円から2,385.7兆円へ、それより速く増えました。差を作ったのは株式と投資信託です。株式は182.8兆円から398.4兆円へ、投資信託は80.9兆円から165.3兆円へ増えました。
つまりこの11年間に起きたのは「預金からの流出」ではなく、預金以外の増え方が預金を上回ったということです。そのうちどれだけが新規の資金移動で、どれだけが価格上昇によるものかは、この残高表だけでは分けられません。
日米欧を同じ分類で並べると
日本銀行は日本・米国・ユーロ圏を同一の分類で並べた資料を四半期ごとに出しています。2026年3月末の数字です(日本銀行)。
| 地域 | 現金・預金 | 債務証券 | 投資信託 | 株式等 | 保険・年金等 | その他 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 47.2% | 1.5% | 6.9% | 16.7% | 24.5% | 3.2% | 2,386兆円 |
| 米国 | 10.7% | 4.3% | 13.3% | 43.4% | 25.7% | 2.5% | 141.6兆ドル |
| ユーロ圏 | 31.1% | 2.8% | 12.1% | 25.5% | 26.5% | 2.0% | 35.5兆ユーロ |
保険・年金等の比率は3地域とも24〜27%でほぼ同じです。違いは現金・預金と株式のあいだにあります。
この差は「どちらが賢いか」ではなく、制度と歴史の差として読むほうが妥当です。年金が企業年金・個人勘定でどれだけ運用資産として積まれているか、持ち家がどう取得されるか、そして長期のインフレ率と預金金利がどうだったか。1990年代以降の日本では、預金の実質価値が大きく目減りしない時期が長く続きました。この段落は解釈であり、表の数値は公表統計の観察です。
アジアで比べられる市場は3つしかない
本サイトが扱う9市場のうち、家計部門の金融資産残高表を公表しているのは日本・台湾・シンガポールだけです。
| 市場 | 基準時点 | 現金・預金 | 債務証券 | 株式・投資信託 | 保険・年金 | その他 | 部門の定義 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 2026年3月末 | 47.22% | 1.52% | 23.63% | 24.48% | 3.15% | 家計(個人事業主含む) |
| 台湾 | 2024年末 | 34.78% | 0.25% | 26.10% | 26.12% | 12.74% | 家計および非営利団体 |
| シンガポール | 2026年第2四半期 | 32.36% | — | 20.19% | 47.45% | — | 家計 |
| 韓国 | 2025年第2四半期 | 45.23% | 3.25% | 22.52% | 28.18% | 0.83% | 家計および非営利団体 |
この表の「株式・投資信託」は、日本については日銀表の株式等16.70%と投資信託6.93%を足したものです。同一の表・同一のヴィンテージに載っている公表項目の合計であり、推計ではありません。シンガポールは債務証券の独立項目がなく、投資信託は「株式・証券」に含まれます。また部門の定義が3市場で異なります。台湾は非営利団体を含み、シンガポールはCPF(中央積立基金)が保険・年金に入るため、この項目だけで47.45%を占めます。香港・マレーシア・タイ・フィリピン・インドネシア・ベトナムはこの表に行がありません。残高表を作成していないためで、ゼロという意味ではありません。
この数字を読むときに確かめること
まず分母です。「家計金融資産」は国によって中身が違います。日本は個人事業主を含み対家計民間非営利団体を除きます。台湾は非営利団体を含みます。シンガポールは住宅資産を別立てにしたうえでの金融資産です。どれが正しいということではなく、比べるときに揃っていないというだけです。
次に残高(ストック)か取引(フロー)かです。同じ「資金循環統計」という名前でも、タイ・フィリピン・インドネシアのそれは取引だけを記録する表で、残高表がありません。「その年にいくら預金を積み増したか」と「いま預金をいくら持っているか」は別の数字です。
最後にヴィンテージです。資金循環統計は毎年さかのぼって改定されます。本稿の全期間が同じ2026年第1四半期速報から取られているのはそのためで、古い公表値と混ぜると時系列そのものが壊れます。
そして、預金比率の高さをそれ自体で「保守的」とも「非効率」とも読まないことです。これは資産の置き場所の分布であり、家計の収益率でも、物価の指標でもありません。
よくある質問
日本の家計金融資産はいくらですか。
2026年3月末で2,385.7兆円です(日本銀行 資金循環統計、速報)。2015年3月末は1,762.5兆円、2000年3月末は1,401.1兆円でした。
そのうち現金・預金はどれくらいですか。
47.22%です。金額では1,126.4兆円にあたります。この比率が50%を下回ったのは公表系列のなかで直近1年のことで、2025年3月末は50.28%、2020年3月末は54.70%でした。
米国やユーロ圏と比べるとどうですか。
日本銀行が同じ分類で作成している比較資料では、2026年3月末の現金・預金比率は日本47.2%、米国10.7%、ユーロ圏31.1%です。株式と投資信託を合わせた比率は日本23.6%、米国56.7%、ユーロ圏37.6%です。
アジアの他の市場と比べられますか。
比べられる市場は限られます。家計部門の金融資産残高表を公表しているのは、本稿が扱う9市場のうち日本・台湾・シンガポールの3つだけです。香港・マレーシア・タイ・フィリピン・インドネシア・ベトナムは残高表を作成していないか、資金循環統計が取引(フロー)だけの構成です。