日本の外貨準備は1.2兆ドル — 2026年に8か月で11.8%減った
外貨準備の絶対額は比較対象9市場で最大ですが、GDP比では30.9%と中位で、短期対外債務に対しては242.4%です。規模・比率・直近の変化がそれぞれ違う話をしており、この3つを分けて読む必要があります。
日本の外貨準備は経済規模に対してどの位置にあるか
絶対額は最大、GDP比では中位です。2025年12月末の外貨準備等は1兆3,697億7,500万ドル、2025年のGDPは4兆4,351億6,000万ドルで、比率は30.9%です(財務省、IMF世界経済見通し)。
日本の外貨準備は経済規模に対してどの位置にあるか
準備÷GDP
ゼロを基準とする共通の線形目盛です。 下の表から一部の項目を抜粋しています。日付・単位・定義・注意点は元の表と本文を確認してください。
| 市場 | 準備、2025年末(百万ドル) | 2025年GDP(十億ドル) | 準備÷GDP |
|---|---|---|---|
| 香港 | 427,934 | 427 | 100.1% |
| シンガポール | 409,276 | 604 | 67.8% |
| 台湾 | 602,550 | 920 | 65.5% |
| タイ | 281,872 | 577 | 48.9% |
| 日本 | 1,369,775 | 4,435 | 30.9% |
| マレーシア | 125,532 | 472 | 26.6% |
| フィリピン | 110,833 | 487 | 22.8% |
| インドネシア | 156,471 | 1,446 | 10.8% |
金額では9市場のどこよりも大きく、GDP比では上から5番目です。同じ資産を2つの尺度で測ると順位が変わります。
各当局は自らの定義で公表しており、定義は互換ではありません。日本・シンガポール・マレーシア・インドネシアはofficial reserve assets、香港はofficial foreign currency reserve assets、タイとフィリピンはgross international reserves、台湾は外貨準備(金・SDR・IMFリザーブポジションを含まない)です。本稿はいずれの数値も定義間で換算していません。2025年のGDPはIMF世界経済見通しの推計値であり、確定値ではありません。
2026年に8か月で11.8%減った
2026年8月末の外貨準備等は1兆2,075億2,400万ドルで、2025年12月末の1兆3,697億7,500万ドルから11.8%減りました。
同じ期間の他市場は次のとおりです。
| 市場 | 2025年12月末 | 直近 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 1,369,775 | 1,207,524(2026年8月) | -11.8% |
| インドネシア | 156,471 | 146,508(2026年8月) | -6.4% |
| フィリピン | 110,833 | 104,813(2026年8月、暫定) | -5.4% |
| 台湾 | 602,550 | 601,900(2026年8月) | -0.1% |
| タイ | 281,872 | 283,142(2026年8月) | +0.5% |
| 香港 | 427,934 | 447,868(2026年7月) | +4.7% |
| マレーシア | 125,532 | 132,067(2026年7月) | +5.2% |
| シンガポール | 409,276 | 432,969(2026年8月) | +5.8% |
減少幅は9市場で最大です。ここでは各当局が公表した数値をそのまま並べており、増減の要因は扱っていません。読者が確認すべきは、絶対額の大きさと直近の変化が別の話だという点です。
短期対外債務に対しては242.4%
ギドッティ・グリーンスパン基準は、1年以内に満期の来る対外債務を外貨準備で全額カバーできること、つまり比率100%以下を求めます。日本は242.4%です。
| 市場 | 短期対外債務、2025年末(百万ドル) | ÷準備 |
|---|---|---|
| シンガポール | 1,525,406 | 372.7% |
| 香港 | 1,237,709 | 289.2% |
| 日本 | 3,320,148 | 242.4% |
| マレーシア | 146,852 | 117.0% |
| 韓国(参考) | 179,355 | 41.1% |
| 台湾 | 222,212 | 36.9% |
| インドネシア | 46,850 | 29.9% |
| タイ | 70,893 | 25.2% |
| フィリピン | 20,233 | 18.3% |
合否として読むと、この表はアジアで最も安定して見える経済のほうが危険で、1997年に実際に破綻した3市場が安全だと言うことになります。その読み方は誤りであり、だからこそこの指標が市場ごとに別のものを測っていることが分かります。
日本の分子には、国際的な資金取引に伴う銀行部門の対外負債が大きく含まれます。それらには対応する対外資産があり、この比率はその片側しか示しません。タイ・フィリピン・インドネシアでは、同じ項目が基準の想定に近い意味を持ちます。
日本は世界有数の対外純資産国であり、対外負債の総額が大きいこと自体は対外資産の大きさと表裏の関係にあります。総額のみを見る比率ではこの対応関係が見えません。この段落は構造の解釈であり、表の数値は公表統計の観測値です。
この数値を読むときに確認すること
まず定義です。上の表には4種類の準備概念が出てくるため、それぞれ明記しています。2つの数値はラベルが一致して初めて比較できます。
次に満期の概念です。本稿の短期対外債務は原契約満期1年以下で測られており、四半期対外債務統計の基準です。ギドッティ・グリーンスパン基準がもともと想定するのは残存満期で、これは別の、通常より大きい数値です。両者を入れ替えてはいけません。
最後に基準日です。本稿の準備は2025年12月末で、同じ四半期の債務数値と揃えています。本文で引用した2026年8月の数値は後の観測値であり、比率の表には混ぜていません。
よくある質問
日本の外貨準備はいくらですか
2025年12月末で1兆3,697億7,500万ドル、2026年8月末で1兆2,075億2,400万ドルです。8か月で11.8%減りました。絶対額は比較対象9市場で最大ですが、2025年GDP比では30.9%で、香港の100.1%や台湾の65.5%より低くなります。
2026年の減少は大きいのですか
比較対象9市場のなかでは最大です。同じ期間にインドネシアは6.4%、フィリピンは5.4%減った一方、シンガポールは5.8%、マレーシアは5.2%、香港は4.7%増えています。ここでは財務省が公表した数値をそのまま記載しており、増減の要因は扱っていません。
日本はギドッティ・グリーンスパン基準を満たしていますか
満たしていません。この基準は1年以内に満期の来る対外債務を外貨準備で全額カバーできること、つまり比率100%以下を求めますが、2025年12月末の日本は242.4%です。ただしシンガポールは372.7%、香港は289.2%で、国際金融取引の大きい市場ではこの比率が高く出ます。
各市場の準備の数値はそのまま比較できますか
定義に注意が必要です。日本・シンガポール・マレーシア・インドネシアはofficial reserve assets、香港はofficial foreign currency reserve assets、タイとフィリピンはgross international reserves、台湾は金・SDR・IMFリザーブポジションを含まない外貨準備を公表しています。表には定義を明記しており、定義間の換算は行っていません。