米英独日の長期金利が同時上昇 — 日本の10年3.111%は4か国で最も「久しぶり」の水準
2026年10月初め、米国・英国・ドイツ・日本の10年国債利回りはそろって数年から数十年ぶりの高さになりました。日本の3.111%は1996年以来で、4か国で最も長いブランクです。原油・物価、国債増発、期間プレミアムの3つの原因と、政策金利との差を比べます。
2026年秋、主要国の長期金利がそろって上がりました。日本だけの現象ではありません。ただ、同じ波の中でも日本の位置は少し特殊です。4か国を同じ表に並べて確かめます。
4か国の10年国債利回りはどこまで上がったか
すべて数年ぶりの高さで、何年ぶりかでは日本が最も長くなっています。
4か国の10年国債利回りはどこまで上がったか
最近
ゼロを基準とする共通の線形目盛です。 下の表から一部の項目を抜粋しています。日付・単位・定義・注意点は元の表と本文を確認してください。
| 国 | 年初 | 最近 | 2026年の最高 | 何年ぶり | 年初比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 米国 | 4.19%(1月2日) | 5.28%(10月7日) | 5.31%(10月5日) | 2002年5月以来 | +109bp |
| 英国 | 4.517%(1月2日) | 5.337%(10月6日) | 5.383%(9月28日) | 2007年7月以来 | +82bp |
| ドイツ | 2.96%(1月2日) | 3.55%(10月7日) | 3.69%(9月28日) | 2011年4月以来 | +59bp |
| 日本 | 2.111%(1月5日) | 3.111%(10月7日) | 3.111%(10月7日) | 1996年以来 | +100bp |
各国の公式な利回り曲線の値です。米国は米国財務省、英国はイングランド銀行、ドイツはドイツ連邦銀行、日本は財務省です。
日本の10年国債利回り3.111%(2026年10月7日)。日次でこれを上回ったのは1996年8月27日の3.179%が最後
上昇幅は米国とほぼ同じですが、出発点の低さが違います。日本は年初の2.111%から1ポイント上がり、率にすると約47%の上昇です(計算)。また、最新値がそのまま2026年の最高値になっているのは4か国で日本だけです。
30年物は何年ぶりか
| 国 | 30年国債利回り | 位置づけ |
|---|---|---|
| 米国 | 5.67%(10月7日) | 2002年以来 |
| 英国 | 10月1日に取引時間中に6%台 | 1998年以来(報道) |
| ドイツ | 4.03%(9月29日、10月1日) | 2011年4月以来 |
| 日本 | 4.168%(10月6日) | 1999年の系列開始以来の最高 |
日本の30年物は財務省の系列が1999年9月から始まっており、その全期間で最も高い水準です。10年物の「約30年ぶり」に対し、30年物は統計上の最高を更新しています。
なぜ同時に上がったのか
| 原因 | 何が起きたか |
|---|---|
| 原油と物価 | 2月28日にイラン戦争が始まり、ブレント原油先物は戦争前の約70ドルから4月30日に一時126.41ドル(報道)、10月8日も105ドル台。米国8月の消費者物価3.4%(エネルギー+16.3%)、英国8月3.1%、ユーロ圏9月速報3.8% |
| 国債の増発 | ドイツの2026年の国債発行は約5,255億ユーロで過去最大、英国の2026〜27年度ギルト発行は2,462億ポンド、米国の2026会計年度最初の11か月の赤字は約2兆ドル。日本は2027年度の新規国債が約40兆円(2026年度32.7兆円)、国債費の要求36.64兆円・想定金利3.8%と報道 |
| 期間プレミアム | ニューヨーク連銀ACMの米国10年物期間プレミアムは1月2日0.790%から6月29日0.455%(年内最低)を経て10月5日0.962%と2014年7月以来の高さ |
日本の国債増発の数字は、ブルームバーグの報道による概算要求段階のものです。期間プレミアムは、長期債を持ち続けるリスクに対して投資家が求める上乗せ分の推計で、物価の見通しだけでは説明できない長期金利の上昇分を示します。日本の消費者物価は8月に1.9%と4か国の中で最も低く、日本の上昇は、物価よりも日銀の利上げと国債の需給を映している面が大きいと見ることもできます。
ユーロ圏でフランスだけが抜け出した(10月19日更新)
10月に入って、ユーロ圏の中ではフランスの10年国債利回りだけが大きく上がりました。
| 日付 | フランス10年 | ドイツ10年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 9月2日 | 4.24% | 3.39% | 84.9bp |
| 10月2日 | 4.90% | 3.43% | 146.9bp |
| 10月16日 | 4.79% | 3.42% | 137.4bp |
値はフランス銀行とドイツ連邦銀行の日次値をまとめたideal-investisseurの表によります。フランスは10月2日の取引時間中に4.994%を付け、ロイターは2002年以来の高さと伝えました(Boursorama)。イタリアの10年物は10月16日に約4.50%で、債務比率がより高いイタリアよりもフランスの方が高い金利で借りています。
この表のドイツの値は指標銘柄ベースで、冒頭の表にあるドイツ連邦銀行の利回り曲線の値(10月7日3.55%)とは出所と算出方法が異なります。
フランスとドイツは同じECBの政策金利のもとにあるので、2国の差は金融政策では説明できません。2026年の財政赤字はGDP比5.4%の見込みで、10月1日に示された2027年予算案は5.0%への縮小を掲げていますが、政権は下院で過半数を持たず、最初の採決は10月20日です。この節の上昇は、原油や期間プレミアムといった4か国に共通する要因に加え、フランスの財政と政治に固有の上乗せが重なったものです。同じ日に日本の10年物は2.958%で、債務比率が高い日本の方が低い理由は「フランスは日本の未来か」で比べています。
10年国債と政策金利の差はどこが大きいか
日本が最も大きく、4か国の中で唯一「政策金利が低いまま長期金利だけが上がった」形です。
| 国 | 政策金利 | 10年 − 政策金利 |
|---|---|---|
| 日本 | 1.25%(9月18日に引き上げ) | +1.86ポイント |
| 英国 | 3.75%(2026年は据え置き) | +1.59ポイント |
| 韓国(参考) | 3.00%(7月・8月に引き上げ) | +1.40ポイント |
| 米国 | 3.75〜4.00%(9月16日に引き上げ) | +1.28ポイント(上限で計算) |
| ドイツ | ユーロ圏の預金ファシリティ金利2.50%(9月、年2回目の引き上げ) | +1.05ポイント |
10年物は前の表の「最近」の値です。日本を9月の月平均(2.992%)で計算すると+1.74ポイントで、それでも4か国で最大です。日本銀行は2026年に2回利上げしましたが、政策金利は4か国で最も低く、長期金利の方が先に大きく動いています。
金利が変わると将来必要な金額も変わる — 運用利回りや物価の前提を変えて、目標額に必要な金額を試算できます。
日本はこの波のどこにいるか
同じ波に乗りましたが、自分の歴史の中ではまだ中位の上の方です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2026年9月の月平均 | 2.992% |
| 1986年7月以降の順位 | 483か月中120位(これより低い月75.2%) |
| 2025年12月からの上昇 | +101ベーシスポイント(月平均) |
| 1年前からの上昇 | +137ベーシスポイント(月平均) |
| 1986年以降の最高 | 7.883%(1990年9月) |
米国の5%台は2002年以来、日本の3%台は1996年以来ですが、日本は1990年前後に7%台を経験しています。「何年ぶり」で見ると最も劇的なのは日本でも、40年の順位では上位4分の1の入り口です。
この数字の限界
各国の値は公式な利回り曲線の日次値ですが、基準日が10月5日から7日の間でずれ、算出方法も国によって異なります。英国の30年物6%台、原油価格、日本の2027年度国債発行の見通しは報道ベースの値です。期間プレミアムはモデルによる推計で、推計方法によって値が変わります。同時に上がったことは共通の原因を示唆しますが、国ごとの寄与を分けたものではありません。
- 10月19日に追加したフランスとイタリアの数字は、フランス下院が10月20日に予算案を採決する前の時点のもので、イタリアの値は報道ベースの概算です。
よくある質問
2026年に長期金利が上がったのは日本だけですか。
いいえ。米国・英国・ドイツ・日本の10年国債利回りはそろって上がり、それぞれ2002年5月、2007年7月、2011年4月、1996年以来の高さになりました。年初からの上昇幅は米国+109、日本+100、英国+82、ドイツ+59ベーシスポイントです。
日本の30年国債利回りはいくらですか。
財務省の国債金利で、2026年10月6日に4.168%でした。30年物の系列が始まった1999年以来の最高です。
なぜ同時に上がったのですか。
主に3つです。2月28日に始まったイラン戦争後の原油高と物価上昇、各国の国債発行の増加、そして長期債を持つリスクへの見返りである期間プレミアムの上昇です。ニューヨーク連銀の推計では、米国10年物の期間プレミアムは10月5日に0.962%と2014年7月以来の高さでした。
日本の長期金利と政策金利の差はどのくらいですか。
10年国債利回り3.111%(10月7日)と政策金利1.25%の差は+1.86ポイントで、米国(+1.28)、英国(+1.59)、ドイツ(+1.05)より大きくなっています。9月の月平均(2.992%)で計算すると+1.74ポイントです。
ユーロ圏の中で、なぜフランスだけ金利が上がっているのですか。
フランスとドイツは同じECBの政策金利のもとにあるため、10月16日の137ベーシスポイントの差は金融政策ではなく、フランスの財政と政治に上乗せされた分です。2026年の財政赤字はGDP比5.4%の見込みで、少数与党の政権が赤字削減の予算を通せるかが問われています。債務比率がより高いイタリア(約4.50%)よりもフランス(4.79%)の方が高い金利で借りています。
出典
- 財務省 国債金利情報(日本10年・30年) ↗
- 米国財務省 デイリー国債利回りカーブ ↗
- イングランド銀行 統計データベース(IUDMNPY) ↗
- ドイツ連邦銀行 金利・利回り統計 ↗
- ニューヨーク連銀 ACM期間プレミアム ↗
- 日本銀行 金融政策決定会合の決定内容(2026年) ↗
- The Edge Malaysia(ブルームバーグ配信)— 日本の2027年度新規国債の見通し ↗
- 韓国銀行 ECOS(韓国10年国債、参考) ↗
- CapsWindow — データと算出方法 ↗
- ideal-investisseur — OAT–Bund spread(フランス・ドイツ10年国債の日次値と差) ↗
- Boursorama(ロイター)— OATが2002年以来の高水準(2026年10月) ↗