政策金利と10年国債利回り、11市場を一覧で
日本の政策金利は約1.00%と表の中で低い方ですが、10年国債利回りは1年で1.623%から3.028%へ140.5ベーシスポイント上昇しました。政策金利との差は200ベーシスポイントで11市場中2番目です。
FRBが2026年9月16日に利上げし、各国の金利が改めて話題になっています。ただニュースに出るのはたいてい政策金利ひとつで、実際に資金を借りたり運用したりする値は債券市場が決めます。11市場の政策金利と10年国債利回りを一枚の表に並べると、日本の位置がはっきりします。
日本はこの表のどこにいるか
政策金利は低い方、利回りの上昇幅は大きい方です。
日本の10年国債利回り、2025年9月16日 → 2026年9月15日(財務省)。上昇幅140.5ベーシスポイント
| 項目 | 日本 | 11市場での位置 |
|---|---|---|
| 政策金利 | 約1.00% | 低い方から2番目 |
| 10年国債利回り | 3.00% | 低い方から3番目 |
| 10年 − 政策金利 | +200ベーシスポイント | 2番目に大きい |
| 過去1年の変化 | +140ベーシスポイント | 3番目に大きい |
| M2前年同月比 | +2.18% | 最も緩やか |
政策金利の水準と長期金利の上昇幅は別物だということが、この5行に出ています。
11市場の政策金利と10年国債利回り
11市場の政策金利と10年国債利回り
10年
ゼロを基準とする共通の線形目盛です。 下の表から一部の項目を抜粋しています。日付・単位・定義・注意点は元の表と本文を確認してください。
| 市場 | 政策金利 | 10年 | 10年 − 政策 | 過去1年 |
|---|---|---|---|---|
| フィリピン | 5.00% | 7.53% | +253bp | +157bp |
| インドネシア | 5.75% | 7.16% | +141bp | +83bp |
| 米国 | 3.75~4.00% | 5.02% | +114bp | +96bp |
| ベトナム | 4.50% | 4.57% | +7bp | +88bp |
| 韓国 | 3.00% | 4.55% | +155bp | +176bp |
| マレーシア | 2.75% | 4.18% | +143bp | +77bp |
| 香港 | 4.00% | 3.85% | −15bp | +84bp |
| 日本 | 約1.00% | 3.00% | +200bp | +140bp |
| シンガポール | 政策金利なし | 2.52% | — | +76bp |
| タイ | 1.00% | 2.35% | +135bp | +91bp |
| 台湾 | 2.00% | 1.94% | −6bp | +56bp |
政策金利は2026年9月17日時点、10年国債利回りは2026年9月15日から16日の取得値です。「10年 − 政策」は政策金利レンジの中央値で計算しています(米国は3.875%)。シンガポールは為替バンドで金融政策を運営しており政策金利がないため、この欄は空けています。
過去1年で何が動いたか
11市場に例外はありません。10年国債利回りはすべて上昇しました。
過去1年で10年国債利回りが上昇した市場の数。平均の上昇幅はおよそ100ベーシスポイント
日本の+140ベーシスポイントは韓国、フィリピンに次ぐ3番目です。政策金利が表の中で低い方にあることを考えると、順位の高さが目を引きます。
日本銀行の金融政策決定会合は2026年9月17日から18日に開かれ、結果は9月18日に公表されます。本稿の執筆時点では未発表です。
マネーストックとの関係はどうか
同じ市場のM2伸び率を並べます。
| 市場 | 10年 | M2前年同月比 | 消費者物価前年同月比 |
|---|---|---|---|
| フィリピン | 7.53% | +9.02%(2026年7月) | +6.19%(2026年7月) |
| インドネシア | 7.16% | +8.32%(2026年7月) | +2.88%(2026年7月) |
| 米国 | 5.02% | +5.41%(2026年7月) | +3.30%(2026年7月) |
| 韓国 | 4.55% | +5.80%(2026年7月) | +3.09%(2026年8月) |
| マレーシア | 4.18% | +6.78%(2026年6月) | +1.78%(2026年7月) |
| 香港 | 3.85% | +2.65%(2026年6月) | +1.65%(2026年7月) |
| 日本 | 3.00% | +2.18%(2026年7月) | +1.90%(2026年7月) |
| シンガポール | 2.52% | +4.02%(2026年6月) | +1.76%(2026年4月) |
| タイ | 2.35% | +5.47%(2026年7月) | +1.95%(2026年7月) |
| 台湾 | 1.94% | +7.42%(2026年7月) | +2.54%(2026年7月) |
ベトナムはマネーストックと直近の物価の資料がないため、この表から外しています。
10年国債利回りとの相関係数 — 左がM2伸び率、右が消費者物価上昇率(10市場)
マネーストックは方向を当てますが、説明できるのは半分です。物価との結び付きが強いのは自然で、10年間債券を持つときに利回りを直接削るのは物価だからです。マネーストックは物価に至る複数の経路のひとつであり、利回りにそのまま値段が付くわけではありません。
日本はこの関係に素直に並んでいます。M2伸び率は10市場で最も緩やかで、10年国債利回りも下から3番目です。一方、台湾は最大の例外で、M2が+7.42%と2番目に速いのに利回りは1.94%と最も低くなっています。
相関係数は10市場の標本から得た値で、基準月も揃っていません(マネーストックは2026年4月から7月、物価は2026年4月から8月)。因果関係ではなく、同じ時点の並びを要約した数字として読んでください。
物価を引くと実際にいくらか
| 市場 | 10年 | 物価 | 実質 |
|---|---|---|---|
| インドネシア | 7.16% | 2.88% | +4.28ポイント |
| マレーシア | 4.18% | 1.78% | +2.40ポイント |
| 香港 | 3.85% | 1.65% | +2.20ポイント |
| 米国 | 5.02% | 3.30% | +1.72ポイント |
| 韓国 | 4.55% | 3.09% | +1.46ポイント |
| フィリピン | 7.53% | 6.19% | +1.34ポイント |
| 日本 | 3.00% | 1.90% | +1.10ポイント |
| シンガポール | 2.52% | 1.76% | +0.76ポイント |
| タイ | 2.35% | 1.95% | +0.40ポイント |
| 台湾 | 1.94% | 2.54% | −0.60ポイント |
フィリピンは名目7.53%で1位ですが、物価が6.19%あるため実質では+1.34ポイントにとどまります。名目の数字だけで高金利市場を選ぶと、この差を見落とします。
日本は名目3.00%で下から3番目ですが、物価が1.90%と低いため実質は+1.10ポイントとなり、順位は名目より上がります。
自分で計算する — 金額と期間を過去の貨幣価値の計算ツールに入れると、M2基準と消費者物価基準の二つの結果を同時に見られます。
この数字をそのまま使えない場合
第一に、出典が混在しています。表の10年国債利回りは比較のため単一の情報源の取得値で揃えており、公式統計とは差があります。米国財務省は2026年9月15日の10年物を5.00%、日本財務省は同日を3.028%と公表しており、表の数字とは数ベーシスポイント異なります。正確さが必要な場面では各市場の公式公表値を使ってください。
第二に、基準月が揃っていません。政策金利は2026年9月17日、利回りは9月15日から16日、マネーストックと物価は2026年4月から8月です。
第三に、未発表の決定があります。日本銀行(9月18日)と台湾中央銀行(9月17日)の決定、および香港金融管理局がFRBの利上げを反映した基準金利は、本稿の執筆時点で公表されていません。
よくある質問
政策金利と10年国債利回りはなぜ違うのですか。
政策金利は中央銀行が決める翌日物の金利で、10年国債利回りは市場が10年分の価格として付ける値です。その差には今後10年の物価・成長・財政の見通しと期間プレミアムが入ります。2026年9月時点で日本はその差が200ベーシスポイントです。
政策金利が低いのに長期金利が上がるのはなぜですか。
中央銀行が直接動かせるのは短い期間の金利だけで、10年先までの見通しは市場が価格を付けるためです。日本の10年国債利回りは2025年9月16日の1.623%から2026年9月15日の3.028%へ上昇しましたが、政策金利は約1.00%です。
マネーストックが増えれば長期金利も上がりますか。
傾向はありますが半分しか説明しません。10市場を標本とするとM2伸び率と10年国債利回りの相関係数は0.59、消費者物価上昇率との相関係数は0.74です。標本が10市場なので方向の参考にとどめてください。
表の数字はいつ時点のものですか。
政策金利は2026年9月17日時点、10年国債利回りは2026年9月15日から16日の取得値です。マネーストックと消費者物価は各市場の最新公表月で2026年4月から8月にばらついており、表に基準月を併記しています。