原油価格を円で見ると過去何番目? ブレント1バレル1万8,270円、1971年以降で2番目の高さ
2026年9月のブレント原油は月平均116.8ドル、円換算で1バレル1万8,269.52円でした。1971年以降の669か月で2番目、ドル建てでは801か月中10番目です。円で見ると2008年7月の高値を既に上回り、物価を考慮しても2番目です。一方、ガソリン店頭価格は補助金で170円程度に抑えられ、8月の消費者物価のガソリンは前年比−2.6%でした。
ドル建ての原油価格だけを見ると、2026年9月は2008年の高値に届いていません。ところが円で払う日本から見ると、景色はかなり違います。1バレルの原油を円に直して過去と比べ、それが店頭のガソリン価格と物価にどこまで届いたかを確かめます。
今、ブレント原油1バレルは円でいくらか
2026年9月の月平均で1万8,269.52円です。世界銀行のPink Sheetのブレント月平均116.8ドルに、9月のドル円月平均156.4171円(FRED EXJPUS)を掛けたCapsWindowの計算です。
ブレント原油1バレル(2026年9月の月平均、円換算、CapsWindow計算)。1バレル=158.987リットルで割ると、原油代だけで1リットル約114.9円
ドル建ての上昇は、2月28日に始まった米国とイランの交戦、ホルムズ海峡をめぐる中東の生産の混乱、9月のサウジアラビアの東西パイプラインへの攻撃と続いた出来事によるものです。米国エネルギー情報局(EIA)によると、9月15日にはブレント現物の日次価格が一時131ドルに達しました。
1971年以降で何番目か
669か月中2番目です。円換算の上位5か月のうち4か月が2026年で占められています。
1971年以降で何番目か
- 1
- 月
- 2026年4月
- 1バレルの円換算(月平均)
- 1万9,157.72円
- 3
- 月
- 2026年5月
- 1バレルの円換算(月平均)
- 1万7,001.45円
- 4
- 月
- 2026年3月
- 1バレルの円換算(月平均)
- 1万6,455.40円
- 参考
- 月
- 2008年7月
- 1バレルの円換算(月平均)
- 1万4,307.46円
下の表から一部の項目を抜粋しています。日付・単位・定義・注意点は元の表と本文を確認してください。
| 順位 | 月 | 1バレルの円換算(月平均) |
|---|---|---|
| 1 | 2026年4月 | 1万9,157.72円 |
| 2 | 2026年9月 | 1万8,269.52円 |
| 3 | 2026年5月 | 1万7,001.45円 |
| 4 | 2026年3月 | 1万6,455.40円 |
| 5 | 2022年6月 | 1万6,088.82円 |
| 参考 | 2008年7月 | 1万4,307.46円 |
1971年1月から2026年9月までのCapsWindow計算です。ドル建てでは、2026年9月の116.8ドルは1960年以降の801か月で10番目にとどまり、最高は2008年7月の133.9ドルです。
ドル建てでは2008年7月より約13%低いのに、円建てでは約28%高い(27.7%、計算)。逆転の理由はドル円です。2008年7月の円換算値から逆算した当時のドル円は約106.85円で、2026年9月は156.42円でした(計算)。同じ量の原油を買うのに必要な円が、為替の水準だけで約1.46倍になっています(計算)。
円安が足した分は、今年はわずか
2025年12月から2026年9月の9か月に限ると、為替の影響は小さくなります。
| 月 | ブレント(ドル) | ドル円(月平均) | 1バレルの円換算 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月 | 62.7 | 155.915円 | 9,775.87円 |
| 2026年2月 | 71.1 | 155.1016円 | 1万1,027.72円 |
| 2026年3月 | 103.7 | 158.6827円 | 1万6,455.40円 |
| 2026年4月 | 120.4 | 159.1173円 | 1万9,157.72円 |
| 2026年6月 | 85.4 | 160.77円 | 1万3,729.76円 |
| 2026年7月 | 83.4 | 162.3295円 | 1万3,538.28円 |
| 2026年8月 | 90.9 | 158.8476円 | 1万4,439.25円 |
| 2026年9月 | 116.8 | 156.4171円 | 1万8,269.52円 |
この間、ドル建ては+86.3%、円建ては+86.9%でした。ドル円は155.915円から156.4171円へ0.32%の円安で、上乗せはごくわずかです(いずれも計算)。7月には162円台まで円安が進みましたが、9月には戻っています。為替が効いているのは今年の変化ではなく、2008年と比べた円の水準そのものです。
物価を考慮するとどうか
物価で調整しても2番目です。各月の円換算値に「2026年7月の全国消費者物価 ÷ その月の消費者物価」を掛けて、2026年7月の物価水準にそろえました。
| 月 | 名目(円) | 実質(2026年7月の物価基準、円) |
|---|---|---|
| 2008年7月 | 1万4,307.46 | 1万6,755.0 |
| 2022年6月 | 1万6,088.82 | 1万8,033.63 |
| 2026年4月 | 1万9,157.72 | 1万9,347.4 |
| 2026年9月 | 1万8,269.52 | 667か月中2位(近似) |
いずれもCapsWindow計算です。2008年7月から2026年7月までに消費者物価は1.1711倍になりました。実質でも最高は2026年4月で、2026年9月は2番目です。ただし9月の消費者物価はまだ公表されておらず、9月は7月の物価をそのまま当てた近似です。この近似で比べると、2026年9月は2008年7月の実質値を約9%上回ります(計算)。
ガソリン価格と物価にはどこまで届いたか
店頭価格は補助金で170円程度に抑えられ、消費者物価のガソリンは前年を下回っています。日本のガソリン価格は市場で決まりますが、政府が元売りに補助金を出して卸価格を下げる仕組みがあります。2026年3月19日出荷分からは「緊急的な激変緩和措置」として、全国平均が170円程度を超える部分を10分の10補助しています。ガソリンの暫定税率は2025年12月31日に、軽油の暫定税率は2026年4月1日に廃止されました。
| 項目 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| レギュラー全国平均(2026年1月5日) | 155.7円/L | 日本経済新聞の報道 |
| レギュラー全国平均(2026年10月13日) | 170.1円/L(1月5日比+9.2%、計算) | 資源エネルギー庁 |
| 10月15日からの補助単価 | 43.0円/L | 同上 |
| 補助がない場合の価格(10月13日) | 212.5円/L程度 | 同上 |
| 全国消費者物価 総合(2026年8月) | 前年同月比+1.9% | 総務省統計局 |
| エネルギー / ガソリン / 灯油(同) | −0.7% / −2.6% / +15.5% | 同上 |
| 暫定税率廃止と政策の寄与(エネルギー、試算) | −0.62ポイント | 同上 |
| 東京都区部 総合 / エネルギー / ガソリン(9月中旬速報) | +2.7% / −1.5% / −0.1% | 総務省統計局 |
原油代だけで1リットル約114.9円という計算と並べると、補助がなければ店頭価格は212.5円程度という資源エネルギー庁の数字の重さがわかります。原油高は、ガソリンの店頭価格よりも、まず国の予算に表れています。支援策の予算は令和7年度予備費7,948億円、令和8年度第1次補正予算6,136億円などで、同庁の資料による累計は9兆5,804億円です。一方、同じく補助の対象である灯油は8月に+15.5%で、原油高が物価に出ている品目もあります。全国の9月分の消費者物価は本稿執筆時点で未公表です。
この数字の限界
月平均の値は、日々の値動きや10月の動きを映していません。EIAの日次のブレント現物(Europe Brent Spot FOB)は、10月1日〜14日の平均が126.98ドル(FRED DCOILBRENTEU、10営業日)で、9月の月平均を上回っています。一方で先物は低く、EIAの短期エネルギー見通しによると9月の現物平均114ドルに対し、先物の期近物は102.02ドルでした。すぐに手に入る原油の奪い合いや、過去最高水準のタンカー運賃が現物を押し上げているとEIAは説明しています。
EIAは10月6日の見通しで、2026年のブレント現物平均を96ドル、2026年10〜12月期を105ドル、2027年平均を84ドルと予測し、10月初めの水準からはおおむね下がるとしています。これはEIAの予測で、結果を示すものではありません。
円換算値は、世界銀行のブレント月平均(ドル)と月平均のドル円を掛けたCapsWindowの計算で、日次の価格や実際の輸入価格(運賃・保険料を含む)とは異なります。世界銀行(116.8ドル)、EIAの現物(114ドル)、先物(102.02ドル)は評価方法が違うため、9月の値もそろいません。原油代は店頭価格の一部にすぎず、税金・精製や流通の費用・補助金で店頭価格は大きく変わります。実質値は2026年7月までの消費者物価で調整しており、9月は近似です。2026年1月5日のガソリン価格は報道ベースの値です。本稿は今後の原油価格や物価を予想するものではありません。
よくある質問
円で見た原油価格は過去最高ですか。
月平均では2026年4月の1バレル1万9,157.72円が1971年以降の最高で、2026年9月の1万8,269.52円は2番目です(世界銀行のブレント月平均×月平均ドル円によるCapsWindow計算)。2008年7月の1万4,307.46円や2022年6月の1万6,088.82円は既に上回っています。
ドル建てでは2008年より安いのに、円建てで高いのはなぜですか。
ドル円の水準が違うためです。2008年7月のブレントは133.9ドルで当時のドル円は約107円、2026年9月は116.8ドルで約156円でした(計算)。ドル建てでは約13%安くても、円建てでは約28%高くなります。
原油がこれだけ高いのに、ガソリン価格が170円程度なのはなぜですか。
政府の補助金が全国平均170円を超える部分を全額補っているためです。10月15日からの補助は1リットル43.0円で、補助がなければ店頭価格は212.5円程度になる計算です。ガソリンの暫定税率も2025年12月31日に廃止されました。
原油高は消費者物価に表れていますか。
ガソリンにはまだ表れていません。2026年8月の全国消費者物価は総合1.9%、エネルギー−0.7%、ガソリン−2.6%で、暫定税率廃止と政策の寄与はエネルギーで−0.62ポイント(総務省の試算)でした。一方、灯油は+15.5%です。
出典
- 世界銀行 Commodity Price Data(Pink Sheet)月次 — Crude oil, Brent ↗
- FRED — Japanese Yen to U.S. Dollar Spot Exchange Rate(EXJPUS、月平均) ↗
- FRED — Crude Oil Prices: Brent - Europe(DCOILBRENTEU、日次) ↗
- 米国エネルギー情報局 Short-Term Energy Outlook(2026年10月) ↗
- 米国エネルギー情報局 Europe Brent Spot Price FOB(日次) ↗
- 資源エネルギー庁 燃料油価格激変緩和対策事業 — 価格と支給単価の推移 ↗
- 資源エネルギー庁 緊急的な激変緩和措置について(2026年3月11日) ↗
- 資源エネルギー庁 燃料油価格に関する支援策の推移 ↗
- 総務省統計局 消費者物価指数 全国 2026年8月分 ↗
- 総務省統計局 消費者物価指数 東京都区部 2026年9月中旬速報値 ↗
- 日本経済新聞 — ガソリン店頭155.7円(2026年1月) ↗