金価格は高値から何%下がった? 円建てでは約24%安、店頭小売は1グラム3万248円から2万3469円に — 過去の下落局面は何年続いたか
金のドル建て価格は2026年1月29日の1オンス5,626.80ドル(報道ベース)から10月21日の約4,127ドルへ約27%下がりました。円建てでは円安が下落を和らげ約24%安です。1980年の高値は円建てで39年半、2011年の局面は円安でほぼ下がらなかったなど、過去の下落局面をドルと円で比べます。
金の価格は2026年1月下旬に最高値を付けたあと、10月までに4分の1ほど下がりました。円で金を持っている人にとっては、どれだけの下落だったのか。そして、これまでの金の下落局面はどれくらい深く、何年続いたのか。ドル建てと円建てを並べて確認します。
円建ての金価格は高値から何%下がったか
ドル建ての現物は約26.7%、円建てに換算すると約24.5%の下落です。
円建ての金価格(ドル建て現物 × ドル円、計算):2026年1月29日 約86万3,000円/オンス → 10月21日 約65万2,000円/オンス
円建ての金価格は高値から何%下がったか
変化
ゼロを基準とする共通の線形目盛です。 負の値は左側に伸びます。 下の表から一部の項目を抜粋しています。日付・単位・定義・注意点は元の表と本文を確認してください。
| 指標 | 高値 | 直近 | 変化 |
|---|---|---|---|
| ドル建て現物(1オンス) | 5,626.80ドル(1月29日、報道ベース) | 約4,127ドル(10月21日 米東部8時50分) | −26.7% |
| 円建て換算(1オンス、計算) | 約86万2,600円 | 約65万1,600円 | −24.5% |
| 円建て換算(1グラム、計算) | 約2万7,730円 | 約2万950円 | −24.5% |
| 田中貴金属工業 店頭小売(1グラム) | 3万248円(1月29日午後) | 2万3469円(10月14日、税込) | −22.4% |
| 世界銀行の月平均 × ドル円月平均(1オンス) | 77万8,610円(2026年2月) | 67万5,565円(2026年9月) | −13.2% |
ドル建ての高値はGlobal Economicの報道値で、日中高値はデータ提供元によって少し違います。10月21日はFortuneの値です。円換算には欧州中央銀行の参照レートからドル円を求め、1月29日153.31円、10月21日157.88円を使いました。金価格と為替の時刻はそろっていません。10月21日午後5時の東京市場のドル円は158円12〜14銭でした(共同通信)。
国内の店頭価格は、1月29日午後に田中貴金属工業が初めて3万円を超える1グラム3万248円に設定し(共同通信)、10月14日14時時点では2万3469円(税込、LIMO)でした。直近では、三菱マテリアルの10月22日13時30分の店頭小売価格が2万3023円(消費税込、GOLDPARK)です。
月平均の下落率が13%台にとどまるのは、1月末の急騰と10月の安値がそれぞれ月の中でならされるためです。足元の高値からの下落は日次の値で、過去の局面との比較は月平均で見るのが一貫した方法です。
なぜ円建ての下落はドル建てより小さいのか
ドル円が円安に動いたからです。金はドルで値決めされるので、円建て価格はドル建て価格にドル円を掛けた値になります。ドル建てが下がっても、1ドルで受け取れる円が増えれば、円建ての下落は小さくなります。
| 期間 | ドル建て | ドル円 | 円建て |
|---|---|---|---|
| 1月29日 → 10月21日(日次) | −26.7% | 153.31円 → 157.88円(円安3.0%) | −24.5% |
| 2026年2月 → 8月(月平均) | −12.1% | 155.10円 → 158.85円(円安2.4%) | −10.0% |
| 2026年2月 → 9月(月平均) | −14.0% | 155.10円 → 156.42円(円安0.9%) | −13.2% |
月平均は世界銀行の金価格とFREDのドル円月平均から計算しました。2026年の円安は数%なので、円建てもドル建てとほぼ同じように下がり、差は2〜3ポイントです。
ただし円は、もっと大きく動いたことがあります。そのとき、ドル建てと円建ての金の姿はまったく違うものになりました。次の表がその例です。
過去の下落局面:ドル建てと円建てでは別物
世界銀行の月平均で見ると、ドル建ての大きな下落局面は3回あり、元の高値に戻るまで316か月、106か月、32か月かかりました。円建てにすると、長さも深さも大きく変わります。
| 高値(月平均) | ドル建て 最大下落 | ドル建て 高値回復 | 円建て 最大下落 | 円建て 高値回復 |
|---|---|---|---|---|
| 1980年(ドル1月、円2月) | −62.1%(1999年7月) | 316か月(2006年5月) | −82.6%(1999年9月) | 475か月(2019年9月) |
| 2011年9月 | −39.3%(2015年12月) | 106か月(2020年7月) | −7.5%(2012年7月) | 5か月で一度回復(2012年2月)、2018年まで上下 |
| 2020年8月 | −15.5%(2022年10月) | 32か月(2023年4月) | −10.5%(2021年3月) | 18か月(2022年2月) |
| 2026年2月 | −18.9%(2026年7月、暫定) | 未回復 | −15.1%(2026年7月、暫定) | 未回復 |
世界銀行の月平均金価格にFREDのドル円月平均を掛けて計算しました。2026年の行は最新月までの値で、底を示すものではありません。
1980年:円高が下落を深くした。 1980年2月のドル円は244.35円、金は1オンス665ドルでした。1999年9月には106.88円、265ドルです。金が下がり、同時に円が倍以上に強くなったため、円建ての下落は8割を超えました。円建てで1980年2月の水準を取り戻したのは2019年9月で、約39年半後です。
2011年:円安が下落を打ち消した。 ドル建ての高値だった2011年9月のドル円は76.80円で、そこから2015年12月の121.64円まで大幅な円安が進みました。ドル建てが4割近く下がる間、円建ての最大下落は2012年7月の7.5%で、ドル建ての底にあたる2015年12月でも3.8%安でした。円建ては2012年2月に一度2011年9月の水準を回復し、その後2018年まで上回ったり下回ったりしています。なお、円建てだけで見た高値は2013年2月で、そこから2013年12月に16.5%安となり、2019年7月まで77か月かかって戻っています。
2020年:差は小さめ。 円の動きが比較的小さかったため、ドル建てと円建ての下落率は5ポイントほどの差でした。ただ、2022年に円安が進んだことで、円建ての回復はドル建てより1年以上早くなりました。
今回の下落の理由として、Yahoo Finance(10月21日)は、イランでの戦争によるエネルギー高とインフレ懸念、そして年内の利上げ観測を挙げ、金は利息を生まないため金利上昇が重しになると説明しています。利上げが意識されると、利息のない金を持つ機会費用が大きくなるという理屈です。ただ、どの要因がどれだけ効いたかを後から正確に分けることはできません。
下がっても、2019年末と比べると何倍か
円建ての月平均は、2026年8月時点でも2019年12月の4.34倍です。9月は4.19倍でした。
| 月 | ドル建て(月平均) | ドル円(月平均) | 円建て(1オンス) |
|---|---|---|---|
| 2019年12月 | 1,479ドル | 109.10円 | 16万1,360円 |
| 2024年12月 | 2,648ドル | 153.81円 | 40万7,300円 |
| 2025年12月 | 4,309ドル | 155.92円 | 67万1,838円 |
| 2026年2月(高値) | 5,020ドル | 155.10円 | 77万8,610円 |
| 2026年8月 | 4,411ドル | 158.85円 | 70万677円 |
| 2026年9月 | 4,319ドル | 156.42円 | 67万5,565円 |
同じ期間のドル建ては2.98倍(8月)で、円建ての方が大きく上がっているのは、2019年末の109円台から円安が進んだためです。2025年12月の水準と比べると、2026年9月の円建て月平均はほぼ同じ水準です。いつ買ったかで、今回の下落の受け止め方は大きく変わります。
店頭での売買には、価格の上下とは別に小売価格と買取価格の差があります。10月22日13時30分の三菱マテリアルでは小売2万3023円、買取2万2677円(消費税込)で、差は約1.5%でした。
自分が買った時期と金額で、円建ての金の価値がどう変わったかは計算機で確かめられます。
本稿の「高値」には日次(1月29日)と月平均(2026年2月)の2種類があり、下落率どうしは比べられません。ドル建ての日次高値は報道ベースで、データ提供元によって異なります。円換算に使った為替と金価格は時刻がそろっていない概算です。店頭価格は報道や各社サイトの特定時点の値で、田中貴金属工業の公式ページは直接確認できていません。過去の局面の長さは月平均による計算で、今回も同じ期間で戻ることを示すものではありません。本稿は金価格、為替、金融政策の先行きを予想するものではなく、売買を勧めるものでもありません。
よくある質問
金価格は高値から何%下がりましたか。
ドル建ての現物は2026年1月29日の1オンス5,626.80ドル(報道ベース)から10月21日の約4,127ドルへ約26.7%の下落です。円建てに換算すると約24.5%の下落でした(欧州中央銀行の参照レートから計算)。国内の店頭小売価格では、田中貴金属工業の1グラム3万248円(1月29日午後)から2万3469円(10月14日)へ約22.4%の下落です。
なぜ円建ての金価格はドル建てほど下がっていないのですか。
金はドルで値決めされるため、円建て価格はドル建て価格にドル円を掛けた値になります。1月29日から10月21日にかけてドル円は約153.3円から約157.9円へ円安になり、1ドルで受け取れる円が増えた分、ドル建ての下落が一部打ち消されました。円高の局面では逆に、円建ての下落の方が大きくなります。
過去の金の下落局面は、円建てでどのくらい続きましたか。
世界銀行の月平均で見ると、1980年の高値は円建てでは1980年2月がピークで、1999年9月に82.6%安まで下がり、元の水準に戻ったのは2019年9月、475か月後でした。2020年8月の高値は円建てで最大10.5%安、18か月で戻りました(ドル建ては32か月)。2011年9月の局面は円安が重なり、ドル建てが底を打った2015年12月までの円建ての最大下落は7.5%(2012年7月)でした。
店頭で買うときと売るときの価格差はどのくらいですか。
例えば三菱マテリアルの10月22日13時30分の店頭価格(消費税込)は、小売2万3023円、買取2万2677円で、小売価格は買取価格より約1.5%高い水準でした。買ってすぐ売ると、金価格が動かなくてもこの差だけ目減りします。実際の売買では、各社の当日の価格と手数料を確認してください。
出典
- Global Economic(韓国語)— 金現物が1月29日に1オンス5,626.80ドルの最高値(2026年10月4日) ↗
- Fortune — Current price of gold, October 21, 2026 ↗
- 欧州中央銀行 — ユーロ参照レート(USD・JPY、日次) ↗
- 秋田魁新報(共同通信)— 金価格、初の3万円突破(2026年1月29日) ↗
- LIMO — 10月14日の店頭小売価格(田中貴金属工業、2026年10月22日) ↗
- 三菱マテリアル GOLDPARK — 金価格(2026年10月22日) ↗
- 世界銀行 Commodity Price Data(Pink Sheet)月平均金価格 ↗
- FRED — EXJPUS ドル円の月平均 ↗
- OANDA(共同通信)— 東京円、158円台前半(2026年10月21日) ↗
- Yahoo Finance — Gold price today, October 21, 2026 ↗